Pythonのインストールと仮想環境の構築方法~WinPython~
本投稿は,WinPythonを用いた,Windows PCに対するPythonの開発環境と仮想環境の構築に関する投稿です.
Pythonを直接インストールする方法での,Pythonの開発環境と仮想環境の構築に関しては,過去の投稿[1]で紹介しています.また,そもそもWinPythonがどのようなものであるのかについては,本投稿の第1章をご覧ください.
WinPythonや第4章で触れているVisual Studio Codeを用いた開発環境の構築は,例えば予算が不要,商用利用が可能であり,業務も視野に入れた際の1つの選択肢なるかと思います.
本投稿で使用したWinPythonのバージョンはv3.12.4.1です.またVisual Studio Code(以下VS Code)のバージョンは1.96.2です.
目次
1. WinPythonの概要
WinPythonは,Windows環境向けにPython・統合開発環境(IDE)・主なライブラリがまとめられたパッケージである.特徴や利点を以下に挙げる.
- ポータブル化されているため,インストールは不要
- 第2章にて後述する方法でダウンロードしたWinPythonを,展開するだけで使用できる
- 例えば業務で扱う会社支給のPC等,管理者権限が無かったりインストールが困難な場合でも,導入することが可能
- インストール不要のため,不要になった際もアンインストールは不要であり,第2章にて後述するWynPython環境のフォルダ1つを削除するだけで良い
- 商用利用が可能
- 無償のオープンソースであり,商用利用が可能
- 仮想環境化されている
- 例えば,含まれているIDE・Spyder上のコンソールからコマンドpipで,任意のライブラリをインストールできる.このインストールしたライブラリは,WinPythonのフォルダ内にインストールされるため,従来のローカル環境に影響/変更を与えない
- 含まれているIDE
- Spyder
- Jupyter Notebook
- 含まれている主なライブラリ
- Matplotlib
- Numpy
- Pandas
- Scipy
- Seaborn
- Sciktlearn
2. WinPythonの導入方法
はじめに,WinPythonのダウンロードを行う.
こちらのサイト[2]より,WinPythonをダウンロードする.リンク先のWebページにて,「Files」のタブをクリックすると,WinPythonの各バージョンが掲載されている.また同Webページには「Doenload Latest Version」ボタンがある.特定のバージョンである必要が無い場合は,このボタンによって,最新の安定したバージョンが入手できる(本投稿で使用しているWinPythonのバージョンはv3.12.4.1)
ダウンロードか完了すると,.exeファイルが手に入る.このファイルを実行すると,諸ファイルが1つのフォルダに入った状態で展開される.この展開された1つのフォルダがWinPython環境である.このフォルダは,任意のディレクトリに配置可能である.
展開されたフォルダには,「Spyder.exe」が格納されている.これを実行すると,IDEのSpyderが起動し,Python等のコーディングが可能である.
次に,WinPython環境に対する,Pythonの諸ライブラリをインストールする方法を説明する.
Spyderにおける「IPythonコンソール」は,プログラム実行時の結果を出力できる他,コマンドプロンプトでコマンドpipし諸ライブラリをインストールするのと同じように,各種Pythonのコマンドも利用できる(図1).
IPythonコンソールや変数エクスプローラ等の各ペインは,任意のレイアウトにできる.
さらに,WinPythonが仮想環境化されている確認を行う.
まずSpyderにて下記コマンドを実行すると,PythonのバージョンはWinPythonダウンロード時に選んだ3.12.4が結果として出力される(図2).
!python --version
そしてコマンドプロンプトで書きコマンドを実行すると,Pythonのバージョンは過去の投稿[1]でインストールした3.13.1が結果として出力される(図3).
Python --version
図2および図3で示した通り,Pythonのバージョンが異なっており,WinPython環境がローカル環境とは区別された仮想環境になっていることが分かる(WinPython環境のフォルダ内には,仮想環境を活性化させるためのactivateファイルも,実際に格納されている).
そして,図1で示したようにSpyderのIPythonコンソールにてpipコマンドでインストールした内容は,ローカル環境とは区別されWinPython環境に対して行われる.
3. Spyderの長所:変数エクスプローラ
様々なIDEやエディタが世にある中で,WynPythonの導入と共に合わせて導入されたIDE・Spyderの長所を紹介する.
Spyderには「変数エクスプローラ」という機能がある.これは,プログラム実行時の各オブジェクトや変数と,それらの値を表で可視化し確認できる.変数エクスプローラの様子をサンプルプログラムを用いて図4に示す.
図4のプログラムは,String型と整数値のList型の2つのクラス変数を持つ,クラスsampleAugsがある.そしてクラスsampleAugs型のオブジェクトsaを宣言している.
変数エクスプローラ上には,このプログラムで宣言した変数/オブジェクトとして,変数iおよびオブジェクトsaが表示されている.そしてそれらの型,サイズ,値を確認できる.
さらにオブジェクトsaの詳細が知りたい場合は,変数エクスプローラにおけるオブジェクトsaの行をクリックする.これにより「sa – Object」というウィンドウが新たに開き,オブジェクトsaが持つ変数を確認できる.実際にオブジェクトsaが持つクラス変数sample_listとsample_stringが表示されている.そしてこれらの型,サイズ,値を確認できる.
そしてクラス変数sample_listはlist型であるため,listの各要素を確認したい場合は,ウィンドウ「sa – Object」におけるクラス変数sample_listの行をクリックする.これにより,「sample_list – リスト(100要素)」というウィンドウが新たに開き,クラス変数sample_listが持つ各要素を確認できる.
4. WinPython環境をVisual Studio Codeで利用する方法
WinPython環境を用いつつ,コーディングはエディタの1つであるVS Codeを用いる場合を紹介する.VS Codeには,拡張機能で下記をインストールしてある.
- Japanese Language Pack for Visual Studio Code
- Python
- Pylance
- Python Debugger
WinPython環境をVS Codeでも用いる場合は,WinPython環境におけるPythonのインタプリタを,VS Codeで設定する必要がある.
- 「表示>コマンドパレット」をクリックする
- 表示されたコマンドパレット上の一覧の中から,「Python: インタプリタを選択」をクリックする
- 「インタープリタ パスを入力」にて,下記に例示するWinPython環境のインタプリタを選択する
- Python インタープリタへのパスを入力する.WinPythonにおけるPython インタプリタのパスは,例えばDドライブ直下にWinPythonフォルダを格納していた場合は下記のようになる.
- パスの例:D:\WPy64-31241\python-3.12.4.amd64\python.exe
- なお筆者はPythonのv3.11やv3.10.9も使用したことがあるが,これらのバージョンにおいては,「python.exe」ではなく「python311.zip」や「python310.zip」であった
参考文献
- Pythonのインストールと仮想環境の構築方法~コマンドプロンプト~ – word in the world, word in the world, https://word-in-the-world.com/2025/01/02/python-virtualenvironment-01/,(参照2025-1-2).
- WinPython download | SourceForge.net, SourceForge, https://sourceforge.net/projects/winpython/, (参照2025-1-2).